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【映画感想】『ジョジョ・ラビット』は2020年に見た映画でぶっちぎりに好き

とか言って、沢山見た風だけど、去年新作を全く見てない…( ´∀`)

でも、珍しく映画館で2回見て、珍しくパンフレットを購入して、1月にして「今年の1位だわ!」と思ったのでぶっちぎりの1位ということにしておく。

お尻にヒビが入った翌週に見に行って痛さに悶絶し、一ヶ月後にもう一回どうしても見たいと思ってまた悶絶したくらいだから、相当好き。

後ろのお客さん

前の人、不自然な座り方だな

と映画館で思われていた気がする。(終始受付嬢みたいな座り方だった)

 

映画オタクではないのでレビューというわけではなく、インタビューを読みながら作品を読み解き振り返っていきたい。

(ネタバレ感想は最後に記録してるので注意)

目次

あらすじ

物語の舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョは、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーの助けを借りて、青少年集団ヒトラーユーゲントの立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、心優しいジョジョは、訓練でウサギを殺すことができず、教官から〈ジョジョ・ラビット〉という不名誉なあだ名をつけられる。そんな中、ジョジョは母親と二人で暮らす家の隠し部屋に、ユダヤ人少女エルサが匿われていることに気づく。やがてジョジョは皮肉屋のアドルフの目を気にしながらも、強く勇敢なエルサに惹かれていく──。

映画『ジョジョ・ラビット』公式サイト

10歳の弱虫な少年が、悲しい出来事や一人の少女との出会いにより成長していく姿を描いたコメディ作品。

評価

受賞歴

  • トロント国際映画祭(初上映):観客賞受賞
  • アメリカの脚本家組合:脚色賞、衣装デザイナー組合賞(時代劇映画部門)受賞
  • ゴールデングローブ賞:作品賞、主演男優賞ノミネート
  • アカデミー賞:作品賞、助演女優賞、脚色賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞にノミネート、うちアカデミー脚色賞受賞

レビューサイト評価 ※2021年1月現在

  • ロッテン・トマト:批評家評価80%肯定的、一般評価94%肯定的
  • Filmarks:4.2
  • Yahoo!映画:4.17

Filmarksの公式Twitterでも2020年映画満足度1位とのこと!

日本公開前だと映画好きはロッテン・トマトとか参考にするのかな?サイト見てたら結構面白くて、今度じっくり見てみよう( ´∀`)

キャスト

  • ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)
  • ジョジョの母親ロージー(スカーレット・ヨハンソン)
  • アドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)
  • ユダヤ人少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)
  • ジョジョの友人ヨーキ(アーチー・イェーツ)
  • クレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)
  • フィンケル(アルフィー・アレン)
  • ヒトラーユーゲントの教官ミス・ラーム(レベル・ウィルソン)
  • ディエルツ大尉(スティーブン・マーチャント)

魅力的なキャラクター揃いで、キャスティングのこだわりを感じる。インタビュー記事を読み漁ってみた。

ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)

ジョジョ役には、何か月も続いていたオーディションを一瞬で終わらせたという、ローマン・グリフィン・デイビス。愛くるしいヴィジュアルに、これが映画初出演というナチュラルな初々しさと、激しく心を打つ天才的な演技力をあわせもつ、驚異の新星の登場だ。

映画『ジョジョ・ラビット』公式サイト

この勘違いエピソードが可愛かった笑

母もぼくも『ピーター・ラビット』(2018年)のオーディションだと思いこんでいたんだけど(笑)。オーディションに行くとき、車のなかで台詞を覚えようとしていたんだ。そこで勘違いしていたことに気がついた。「この男の子、ナチスみたいなんだけど」ってお母さんに言ったら、「まさか、そんなわけないじゃない!」って(笑)。

BANGER!!! ローマン・グリフィン・デイビスインタビュー

求めているキャラクターに近い子供を選ぶ方が良い結果になると監督が言っている通り、ジョジョ役はナチュラルなチャーミングさがとても良かった。

これまでに何度も子役と仕事をしてきている。そこで学んだのは、自分が生みだしたキャラクターに近い子供を選んで、ほとんど演技をさせないようにしたほうが良い結果になるということだ。(略)

ローマンに関しては、かなりギリギリで見つかったんだ。オーディションを4ヶ月ほど続けたあと、どこからともなく現れて、ぼくらを驚かせてくれた。感受性が豊かで、感情的に成熟している点が決め手だ。(略)

BANGER!!! タイカ・ワイティティ監督インタビュー

ローマンは信じられないほど聡明で感受性が強く、周りの役者にも気を遣います。いつも質問してきて、他の役者の芝居の意味をとらえ、それが自分にどう関係してくるかを理解しようとします。これは場数を踏んだ役者でないとできないことですが、10歳のローマンがそれを考えているのには驚きましたね。彼とは最終段階のオーディションで出会い、一目見た瞬間、ジョジョにぴったりだと思いました。

SCREEN ONLINE タイカ・ワイティティ監督インタビュー

父親が撮影監督、母親が脚本家・映画監督、祖父は撮影監督・カメラオペレーターらしく、すごい家庭で育ったローマン君。どのような俳優さんになるか楽しみ。

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ロージー(スカーレット・ヨハンソン)

そんなジョジョの母親役をスカーレット・ヨハンソンが演じる。ユーモアがあり、どんな状況でもありのままの自分であり続ける強くて献身的な母親像がぴったりの配役。

脚本を読んだ時のスカヨハさんの感想。

ロージーというキャラクターにも惚れ込んで、なんとしても出演させてもらいたいと思ったの。それでタイカに会うことになった。(略)私は自分を売り込みたいと思っていたし、きっと彼もわたしを説得したいと思っていたはずなんだけど、その時はどういうわけか映画についていっさい話さなかったの(笑)。

ただ、「もし私が必要だったら教えて」と言っただけ。彼は「オーケー、最高」と返事をして終わり。次に会ったのは現場だった。

BANGER!!! スカーレット・ヨハンソンインタビュー
IMO

何だか大人な会話でおしゃれ。笑

ワイティティ監督がキャストについて語った動画を見ると、「スカーレットは愉快で滑稽さがあり風変わり、理想の母親役だ。配役できて幸運だった。」と言っているので、相思相愛のキャスティングと言える。

スカヨハさんも母親が映画製作者で子役からやっているのでローマン君と通じるところはあるのかなと思った。

親子二人の様子が分かる動画。ローマンは豆っぽいと言っていた笑

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アドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)

10歳の少年のイマジナリーフレンドであるヒトラーをタイカ・ワイティティ監督自身が演じている。

監督の頭の中にいる人物なので、もし他の俳優が演じた場合は難しかったのではと思う。評価次第では批判される可能性もある役だし、リスクもあったので監督で良かった。

ヒトラー役は「楽しい役ではなかった。あの格好をした自分の姿を見るのはなかなかきつかった」とこぼすも、「うまくやる秘訣は、忠実に演じるようにしないこと。(子供の空想だから)もっと子供っぽく、アマチュアな感じにした。僕はそれがとても得意なんだ」とにやり。もともとは自分で演じるつもりではなかったというが、「今は、これで良かったんだと思う。僕がこの役に求めているのはとてもはっきりしたものだったから、自分にしかできなかったんじゃないかと思う」。

シネマ・トゥディ タイカ・ワイティティ監督インタビュー

監督が役者として混じっている現場の雰囲気が伝わる動画もあった。

https://www.youtube.com/watch?v=Cbl9fAnyIz8

エルサ(トーマシン・マッケンジー)

ユダヤ人少女エルサはニュージーランドの若手女優トーマシン・マッケンジーが演じた。悲しい過去を背負いつつ、さらにユーモアや強さも持ちあわせていて、役作りが大変だろうと察する。どのインタビューでも時代背景を学ぼうとする様子が伺えた。

それこそ『アンネの日記』やアンネのような経験をされた方々が執筆した物語を読みました。第二次世界大戦やホロコーストなどの歴史についても、何度も何度も学び直しましたね。でも、役作りのなかで一番重要だったのは、プラハ(映画の撮影地)に着いてすぐにユダヤ人地区やユダヤ教の礼拝堂、プラハのはずれにあった強制収容所を訪れたことです。役作りにおいては、多くの歴史を持つ場所に、物理的に身を置くことが一番重要なことだと思います。

THE RIVER トーマシン・マッケンジーインタビュー

それに対してワイティティ監督は、「そういうのは全部要らない」と言ったそうな笑

エルサは戦争がなければ普通の生活を送る少女だったわけで、ローマン君同様に監督は等身大の姿を求めたのかもしれない。

ところで画像検索すると、スタイリストさんによってメイクがバラバラで素材を壊してるメイクが多い気がする。もったいない笑

ヨーキ(アーチー・イェーツ)

ジョジョに寄り添う優しい友達ヨーキを演じるのはアーチー・イェーツ。

IMO

ヨーキよ、人生何周目?笑

プロパガンダを受けているはずなのに、フラットで俯瞰的なセリフを言うシーンが何度もあり、例えば「なぜユダヤ人だって分かるんだい?」と尋ねてきたり。哲学者の素質がありそう笑

とにかく可愛い!終始「絶対死ぬなよ!!」と思いながら見ていた。ジョジョと再会するシーンは特に愛くるしい。

ちなみにこちらにGIFがたくさんあって可愛いヨーキがいっぱい!

単独のインタビューはあまり見つからなかったけど、映画の広報用には結構駆り出されている印象だった笑

みんなのTwitterの感想を読み上げるアーチ君が可愛い。

クレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)

キャプテンKことクレンツェンドルフ大尉はサム・ロックウェルが演じる。ひとまとめにナチスではなく、その中には様々な人がいたのだろうと想像させてくれるキャラクターだった。

戦争シーンで鮮やかに登場するシーンはシリアスな場面なのに滑稽さもあり、とてもお気に入り。あのような場面を思いつくことがすごい。振り返ると重要なシーンが多くて大好きなキャラ(…ヨーキの次に)。

ゲイリー・オールドマンに似ていて、何でも演じられそうなお顔立ち。カメレオン俳優の姿が想像できたので他の役も見てみたい。

他にも…

キャプテンKの腹心のフィンケル(アルフィー・アレン)も滑稽なボケをかましてきたり、ヒトラーユーゲントの教官ミス・ラーム(レベル・ウィルソン)は見た目がパンチ効いてるし、ゲシュタポのディエルツ大尉(スティーブン・マーチャント)は身長2m超えから見下ろす不気味さがもうピッタリ。

そんなキャスト達の現場の楽しそうな雰囲気が伝わるNG集がこちら

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配役ももちろん推しポイントなんだけど、その他ジョジョ・ラビットの推しポイントをまとめてみた。

推しポイント①キャストも絶賛の脚本

インタビュー記事を読んでいると、初めて脚本を読んだ時の興奮や絶賛の言葉を口にしているキャストが多いことに気付く。題材だけ見ると役者ならリスクを感じそうだけど、脚本がいかに素晴らしいと感じたかが伝わる。

これまでの人生で数え切れないほどの脚本を読んできた私には、これが完璧な宝物であることがわかった。タイカらしい遊び心や子供らしさがありながら、とても辛辣で悲痛に満ちた作品で、これほど明確なビジョンで書かれた脚本は珍しい。

BANGER!!! スカーレット・ヨハンソンインタビュー

脚本を読んで感激したわ。ユニークな見方をしていて、想像と全く違う物語になっていたことに驚いたわ。この映画は、心に響き、人間性に溢れた作品に仕上がってる。誰もが作れる映画じゃないわ。

FRONTROW スカーレット・ヨハンソンインタビュー

読み始めたら止まらないタイプの台本で一気に読みました。

YouTube – SCREEN ONLINE CHANNEL トーマシン・マッケンジーインタビュー

なによりも、脚本がとにかく素晴らしい。タイカは絶妙なバランスでコメディと哀愁を描いていて、撮影中もそのバランスに細心の注意を払っていた。

BANGER!!! サム・ロックウェルインタビュー

脚本を読んだ瞬間に飛びついた。

YouTube – シネマトゥディ レベル・ウィンソンインタビュー

タイカの作品を見て同じ匂いを感じた。2人とも自然な笑いや演技を好む。

YouTube – シネマトゥディ スティーブン・マーチャントインタビュー

推しポイント②繊細な題材なのにコメディ

映画を見る前に簡単に調べていたら、ナチスの映画なのにカテゴリーがコメディとなっていて頭が混乱した笑

どんな映画を目指しているのか、脚本を読んだ瞬間に理解できたわ。確かに、この映画ほど他人に口頭で説明するのが難しいものはない。伝えようとするテーマと、手法があまりにもかけ離れているから、クレイジーだと思われてしまっても仕方がない。

BANGER!!! トーマシン・マッケンジーインタビュー

そう!伝えるテーマはシリアスなのにコメディという手法がかけ離れていて結びつかない。でも、見終わった後、何故こんなに絶妙な映画が作れるのか凡人には全く分からないほど感動した。

ワイティティ監督は「僕は、いつも映画でそれをやろうとしているんだと思う。コメディーとドラマを混ぜることをね。だからいつもやっていることをやろうとしただけだ。純然たるドラマのやり方は知らないから、できなかったというのもあるけどね」とさらりと語る。

シネマトゥディ タイカ・ワイティティ監督インタビュー
IMO

さらりと…笑、天才過ぎる。

ちなみに原作はもっと暗い物語らしい。それを軽く見せる腕がすごい。さすがアカデミー脚色賞受賞作品。

原作はこの映画よりもずっとダークで、内容もかなり変わっている。想像上の友達としてのヒトラーは登場しないし、映画版ほどのユーモアもないんだ。原作を知ったのは2010年のことで、母から勧められたんだ。「ナチスの青少年組織ヒトラーユーゲントの少年が、自宅に女の子が住んでいることを発見するの。母親がユダヤ人の少女をかくまっていてね……」って基本設定を教えてくれて。

少年はユダヤ人に会ったことがないから、彼にとっては自宅にモンスターが住んでいるのも同然で、どう対応したら良いのか分からない。やがて、そのモンスターが実際には人間であることを悟る、という話さ。ぼくはこのアイデアが気に入って、そこに自分なりのトーンというか、彩りを加えようと考えた。ドラマと哀愁とハートの中心を、軽さやユーモアで包むのがぼくのやり方だからね。

BANGER!!! タイカ・ワイティティ監督インタビュー

推しポイント③若者にも伝わりやすい工夫

子供の目線なのでコメディとして成り立つ

プロパガンダ教育を受けている純粋な少年の視点で描かれており、現代から見れば滑稽さが伝わる。また、子供目線で見せることで、繊細な題材なのに、どこか空想の世界のようなポップさを感じるのでコメディ要素になっても自然な感じがした。

この映画はすごく大事なことを描いていて、ぜひみんなに見て欲しいと思っているの。同じことを繰り返さないように過去を思い起こしてくれることはもちろん、悲しみや恐怖や怒りを描きつつ、希望や楽しさもあるから。若い世代にとって親近感を覚えやすいようにできている。映画を観たらきっと何かを学べると思うし、誰かと話したい気持ちになってくれると信じているわ。

BANGER!!! トーマシン・マッケンジーインタビュー

イマジナリーフレンドを登場させるアイデア

主人公ジョジョのイマジナリーフレンドはあのヒトラー。この発想が斬新過ぎる。

最初はチャーミングでジョジョをいつも鼓舞してくれる友達だったのに、成長するにつれて今まで信じてきた世界の矛盾に気付き、偶像が壊れていく様子が分かりやすかった。

『大事なことですが、あれは本当のヒトラーではありません。自分の映画にヒトラーを出すつもりは全くないし、ヒトラーが少年と遊ぶなんてありえませんよね。僕が演じているのはジョジョが描く将来の自分像で、もしかしたらこうなるかも、もしくはこうありたいという姿です。

ただ僕が演じるヒトラーは10歳の子供なので、子供のように振る舞い、子供のようなことを言っています。この妄想ヒトラー像は歳のジョジョが父親や今までに出会った他の男性、そして遠くから見ていたヒトラーの印象をおおざっぱにミックスして脳内から呼び出したもの。映画が進むにつれ、妄想ヒトラー像を崩壊させることで第三帝国の瓦解をうまく描けると思いました。

終盤でヒトラーは制服の袖が取れ、ボタンはひん曲がり、髪はぐしゃぐしゃになり、落ちぶれてしまいます。この場面によりジョジョが妄信していたナチス主義への忠誠心に疑問を感じ出したことをうまく表現できたと思います。 ここでのヒトラーはいつも怯えていて、いつも嫉妬しています。それもそうでしょう、彼は親友のジョジョを失おうとしているんですから』

SCREEN ONLINE タイカ・ワイティティ監督インタビュー

共感性を感じるキャラクターや演技

ジョジョ役は演技させるというより近いキャラクターの子役を選び、トーマシンに歴史を勉強する必要はないと言った監督のエピソードがあった。

当時を再現することではなく自然体を求めたことにより、遠くはない過去に感じ、今の子供と変わりのない身近な感覚で見ることができる。

またナチス側にもキャラクター設定をしたことで、賛同していない人もいれば、ユーモアがあり、同性愛者もいたのだろう。戦争がなければ普通の生活をしている、自分と同じ人間だということに気付くことができる。

キャプテンKをはじめ、ナチスも人間的に描かれている。ワイティティ監督は「ドイツの兵士や人々の中にもファシズムに賛同していない人はたくさんいた、ということを、多くの人々は理解していないと僕は思う。この戦争以前に、彼らには普通の暮らしがあったということを知ることは大切だと思うんだ。多くの人々が間違った判断を下し、そこから抜け出せなかった。それに気づいたのは、戦争が終わる時だった。僕はただ、人間は人間だと示したかった。誰も生まれた時から人種差別主義者というわけじゃない。そんなのは野蛮な考えだ。だからこそ、子供たちをどう教育するかということが大事なんだ」と訴えていた。

シネマ・トゥディ タイカ・ワイティティ監督インタビュー

現代的な言葉遣い

「ドイツ語を喋ってほしかった」「当時の言葉遣いじゃない」という意見も見受けられたけど、完全な史実映画ではなく、大事なのはすんなりと映画の中に入りやすいかどうかだと思う。現代的な言葉の方が共感性を感じることができる。(英語もドイツ語も分からないけど笑)

台詞は意図的に現代風にしています。それは僕が1944年当時の台詞をどう書いたらいいか分からないからです。事実に基づく必要性も感じませんでしたし、若者に分かりやすいものにしたかった。

「あの変な言葉は何?なんで皆あんな変な喋り方なの?」と感じさせてしまうと、物語から引き離すことになります。「ああ、この映画は現代の設定で、テレビも携帯電話もない町が舞台なんだな」というのが物語に入っていく一つのやり方です。

シネマ・トゥディ タイカ・ワイティティ監督インタビュー

効果的な劇中歌

目立つ場面で馴染みがある音楽が使われていた。現代とリンクするという意味でとても良かった様に思う。

ザ・ビートルズの「抱きしめたい」、デヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」、トム・ウェイツの「I Don’t Want To Grow Up」など歌詞や曲が象徴するものまでシーンにぴったりハマったサウンドトラックについては、2011年に書き上げた脚本にすでに書き込まれていたとのこと。「この瞬間にはこの曲が必要だということがわかっていたし、代わりなどなかったんだ」というワイティティ監督は、「現代的に感じにしたかったんだ。観客がキャラクターとつながれるようにしたかったし、この物語を今起き得ることとして感じてほしかった。単なる過去のことではなく、気を付けていないと起こってしまうこととしてね」と狙いを明かした。

シネマ・トゥディ タイカ・ワイティティ監督インタビュー

 感想:ジョジョ・ラビットは最高の映画

コメディ映画だなんて大丈夫だろうか?と思っていたけど、本質を忘れなければ良い手段だと思った。特に第二次世界大戦をリアルタイムで体験してきた人は少なくなってきた今、伝わりやすさを工夫する必要がある。

ダークな物事を処理するために、ユーモアはとても有効だと思うの。コメディを使うと、相手は防御を下げてくれるから。だから、とてもパワフルなメッセージを伝えるための武器となりえる。トロント国際映画祭ではじめて観客と一緒にこの映画を見たとき、目の醒めるような経験をしたの。前半で観客は爆笑していたのね。でも、その後、映画のなかでとても暗く悲しいことが起きる。すると、劇場が静寂に包まれた。あれは、素晴らしい舞台と同じだった。物語と観客の波長が完璧に合わさった状態。あの瞬間、私はやっとホッとしたの。この題材で笑ってもらっても大丈夫だ、と。みんなに重要なメッセージがきちんと伝わるから。

BANGER!!! スカーレット・ヨハンソンインタビュー
IMO

初上映の反応は、ドキドキしたんだろうなぁ。。

悲しい戦争映画はもう一度見ようとすると、エネルギーと少し重い気持ちになる覚悟が必要だけど、何度でも見れるジョジョ・ラビットはその壁を無くした唯一の戦争映画だと思う。

一年前映画館で見た記憶を思い出しながら今回はブログを書いたけど、また今度改めて見るとする。

ネタバレ感想

結果だけ見ると実はめちゃくちゃ悲しい映画で、愛すべき大人達は大切なものや子供達を守って全員亡くなってしまう。

でも何故だろう、見終わった後は爽やかさすら残る軽快な感じ。希望を感じるのは、子供達(ジョジョ、エルサ、ヨーキ)が全員生きているということ、そして弱虫だったジョジョは成長し、エルサは外の世界に出ることができ自由を手にしたからだ。

この映画はイマジナリーフレンドの変化だけではなく、「靴紐」が少年の成長を分かりやすく表現している。

序盤では、ジョジョは靴紐が上手く結べず、いつも母が結び直していた。ナチスの思想に傾倒して主張は立派でもまだ自分のこともできない子供で、靴紐を結びながら間違ったことを正したい母の愛を感じる。

母の特徴的な靴がしっかり映る場面があり、きっと後に意味があるんだろうなと思っていたら、ショッキングな出来事の伏線だった。ジョジョが広場で蝶々を追いかけていた静かな場面。突然ジョジョのそばに宙吊りに処刑された母の靴がフレームインする。

写っていたのは靴だけなのに、見ていた観客は一気に心拍数が上がる。それまで子供の目線なので、どこかほんわかとした雰囲気で映画を見ていて、一気にズーンと沈められた気がした。これもジョジョと同じ目線で見ているからこそなのかなと思った。ほどけていた母の靴紐を結んであげたくても、上手く結べないジョジョ。

しかし、ラストシーンではエルサの靴紐を結んであげて、自由を手にしたエルサとステップを踏みダンス。伝えたいテーマの重さに比べて最後は軽やかな気持ちとなる。月並みな言葉で恐縮だけど、監督天才過ぎる。

素敵な映画に出会えて嬉しく思う。

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