結構前に映画館で『クーリエ:最高機密の運び屋』を見てきたので今更ながら、
- 前半はネタバレなしで基本情報(作品情報、評価、あらすじ)
- 後半はネタバレ含んだ感想
をまとめてみた。
『クーリエ:最高機密の運び屋』基本情報
作品情報
原題 | The Courier |
ジャンル | スパイサスペンス |
公開年 | 2020年(日本公開2021年) |
製作国 | イギリス、アメリカ |
上映時間 | 112分 |
監督 | ドミニク・クック |
キャスト | ベネディクト・カンバーバッチ(グレヴィル・ウィン) メラーブ・ニニッゼ(オレグ・ペンコフスキー) レイチェル・ブロズナハン(エミリー・ドノヴァン) ジェシー・バックリー(シーラ) |
評価
レビューサイト評価 ※2021年12月現在
- ロッテン・トマト:批評家評価85%肯定的、一般評価95%肯定的
- Filmarks:3.9
- Yahoo!映画:4.23
ロッテン・トマトの評価が割れずに批評家も一般評価も高い。
あと、Yahoo!映画の評価を見て映画館に向かったんだけど、Yahoo!映画の評価が異様に高い笑
あらすじ
1962年10月、アメリカとソ連、両大国の対立は頂点に達し、「キューバ危機」が勃発した。世界中を震撼させたこの危機に際し、戦争回避に決定的な役割を果たしたのは、実在した英国人セールスマン、グレヴィル・ウィンだった。スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIA(アメリカ中央情報局)とMI6(英国秘密情報部)の依頼を受けてモスクワに飛んだウィンは、国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)高官との接触を重ね、そこで得た機密情報を西側に運び続けるが―。
クーリエ:最高機密の運び屋 公式
家族で見れる?視聴前に知っておくべきことは?
- 家族で見れる?子供が見ても大丈夫?
-
家族で見ても面白いかは別として内容は大丈夫。スパイだと分かって脇役が射殺されるシーンはある。
実話に基づいた話なので教科書にさらっと出てきたキューバ危機が出てきて、学生の頃に映画を見ていたら歴史を見る角度が変わって面白かっただろうなとも思う。
- 視聴前に知っておくべきことは?
-
実話の映画だということ。キューバ危機の歴史や『白鳥の湖』のあらすじなんかも知っておくとより映画の理解が深まるのでおすすめ。
ここからは感想を書きます。
内容薄いけど、未視聴の方はお気を付けください。
『クーリエ:最高機密の運び屋』感想
- 過度な演出がなくて淡々としており、逆にリアリティを感じる
- しかし、実際にこんなことがあったなんてとも思える強烈さも持ち合わせている
- 見終わった後、「めっちゃブロマンスや…」
- 『白鳥の湖』観劇シーンが一番のインパクト
変に緊迫感出しすぎないのがリアリティを感じる
あまり下調べせずだったので、
どうやら実話が混ざってるらしい
くらいの感じで見に行ったけど、実話だと理解して見ないと、普通のセールスマンの元に急にCIAとMI6がやってきてスパイを依頼する突拍子ない展開だなと感じる。突拍子がないからこそ逆に事実に基づいているような気もした。
話が淡々と過ぎていき、スパイ映画ならではの緊迫感は過度に足されることはなく、抑揚重視で映画を見たいなら物足りないような気もするけど、逆に実話だと念頭に置いておくとリアルに当時の空気感が伝わってくる。
スパイ活動が発覚した際、創作映画の様に華麗に脱出とはならず主人公ウィンが捕まってしまった時に、
この話、かなり実話かもしれない…
と遅ればせながら思い、(遅い)
帰宅したら絶対ググる!
と、大昔にきっと放ったらかしにしたであろう歴史の1ページを登場人物から検索する運びとなったので、映画って面白い。
映画っぽい人情味も入れ込んでくる
民間人であるただのセールスマンがスパイをしていたなんて信じがたい実話もありつつ、家族愛や友情も混ざっていてそれが映画っぽさを成り立たせている。
スパイ活動は家族にも内緒なので奥さんに不倫を疑われるけど、ソ連に掴まってからは妻が精一杯釈放に向けて動くのは映画のストーリー感ある。主人公に不倫の前科があるのも人間味ある笑
ウィンとペンコフスキーの友情は実際にはどれ程かは分からないけど、映画では最後に2人で話したシーンは2人の絆が表れて、さらに映画としてのフィナーレを感じるやりとりだった。
ブロマンス映画とは想定外だぜ…
投獄シーンで10kg痩せたカンバーバッチもアッパレだけど、ペンコフスキー役のジョージア出身俳優のニニッゼさんも緊張感漂う目力があり、良い俳優さんだと思った。
一番惹きつけられたのは『白鳥の湖』観劇シーン
スパイシーンでも捕まったシーンでもなく、一番感情揺さぶられるシーンは『白鳥の湖』を観劇するシーン。
『白鳥の湖』のあらすじを読むと、結末に向かう展開と重なるように思える演出だった。
バレエに精通した人ならもっと深読みできるのかも&歴史に詳しければもっと面白かったのかも、知識の浅さを悔いた。
ウィンとペンコフスキーに想いを馳せる
民間人が盗聴・監視されている状況でスパイとして渡り歩き、核戦争回避に動いていたなんて。欧米では有名な話なんだろうか。
「2人は欧米で知られた存在か」という質問に対してのインタビューで監督は、
全くと言っていいほど、知られていません。当時こそ、グレヴィル・ウィンが逮捕されて釈放されたというニュースはイギリスでも大々的に報じられて、しばらくは有名でした。その世代の人たちに聞けば誰でもその名を記憶していると思います。
しかしその後、シークレットサービスが彼の存在を隠しました。なぜなら、彼は喋りすぎた。明かしてはいけないことをたくさん明かしてしまったからです。彼も生きるためにお金が必要だったんですけど、口を閉ざされたのです。そうして、彼に関する情報はフェードアウトすることになりました。だから彼について知っている人はほとんどいないんです。
ペンコフスキーは、ロシアでは悪人として有名です。ソ連が彼のドキュメンタリーを製作して、彼は第二次世界大戦の英雄なんかではなく、ただの事務係だったという噂も流されて。実際には、13回も勲章を受け、キエフでは非常に重要な役割を果たし、2度負傷した戦争の英雄だったんですけれど。しかし、ソ連は彼の重要性を落としたがった。なぜなら彼は反逆者だからです。
今日(こんにち)もこの風潮は続いています。私たちが撮影でモスクワを訪れた時、現地の一部の人に「なぜあんな裏切り者の映画を撮るんだ」と尋ねられました。それで話を聞いてみると、私も知らなかった様々なストーリーがあった。今でも、ロシアでの彼の名は、若い世代の間でも反逆者として記憶されているようです。
THE RIVER インタビュー
と答えていて、映画の2人と重ねると何だか切ない気持ちになる。
忘れ去られたウィン、反逆者として名前が残ったペンコフスキーが、映画という形で新たに記憶に残ることになるなんてそれも含めて不思議な運命だな。
もうちょっと歴史勉強しようと思った笑
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